はじめに
「米国で年内にテーパリングが決定する?」「長期金利が上昇?」「株価が下落・・・?」よく耳にしますが、
皆さん何となく分かったつもりで流していませんか?
米国株なら大丈夫なんでしょ?思考停止していませんか??
今日は投資家なら絶対に知っておきたい、『金利と株価の関係』についてザックリとしたイメージだけでも理解しておきましょう。
イメージだけ先にお伝えしておくと、『金利と株価はシーソーのような関係』にあります。片方が上がれば、片方は下がるというのがセオリーです。
金利と株価の関係
まずはじめに金利と株価の関係を掴んでおきましょう。
結論から先に申し上げますと、
あくまで一般論ではありますが
“金利が上がれば株価は下がる”
“金利が下がれば株価は上がる”
といったシーソーのような関係にあります。
まず、『金利』とは何を指しているのかですが、
これは『10年国債』を指していることが多いです。市中の様々な金利もおおよそ、この10年国債の金利を基準に決定されています。
もう少し掘り下げましょう。
国債とはその名の通り、国が発行する債券のことです。米国債といえば、アメリカが発行する債券という具合ですね。
国が破綻するなどの大きな信用悪化がない限り、比較的価格も安定しており、それ故に10年国債金利を”リスクフリーレート”などとも呼んだりします。
たしかに会社1社とアメリカ国を考えた時に、信用力はどちらのほうがあるかと言われれば考えるまでもないですよね。
このようにリスクをそこまで取らずとも、得られる金利というところからおそらくこう呼ばれているのだと推察します。
ではこの10年国債金利≒リスクフリーレートが動いた時に、市場では何がおき、投資家はそれぞれどういうことを考えるのでしょうか。
①金利が上昇した場合
10年国債金利が上昇した場合、それを基準とした銀行金利も理論上上昇することになります。
これまでよりもお金を借りる際の金利が高くなる≒お金が借りづらくなるため、企業の設備投資マインドが低下します。個人も、住宅ローンをはじめとした各種ローンの借入マインドが低下しますので消費が縮小します。
そのため教科書的には、景気は悪化するので株価は下がるというわけです。
投資家の心理サイドからも説明ができます。
10年国債金利が上昇≒リスクフリーレートが上昇
投資家からすればリスクをあまり取らずとも国債を買っていれば高い金利が受け取れるのであれば、わざわざ高いリスクを取ってまで株式を保有しなくてもいいという心理になりますよね。
当然株式の需要が下がれば(売られれば)、株価は下がります。
②金利が下落した場合
純粋に先ほどの逆を考えて頂ければ結構です。
お金が借りやすくなるため、企業は借入を増やし積極的に設備投資を行います。
個人の消費も拡大し、企業業績は一時的に上向きます。理論上のバリューは高まりますので株価は上昇します。
投資家心理についても同様、リスクフリーレートが下がれば、リスクを取ってでも株式に投資しリターンを得た方が得だというマインドになりますので株式の需要が高まります。=株価は上昇ということになります。
さいごに
“テーパリング”とは何ぞや。という点だけサラッとご説明しておきます。
直訳すると「先細り」「漸減」といった風に訳されます。
国が市中債券の買い入れペースを漸減させていくということを意味します。
米国では国が債券を一定ペースで買い入れることで、市中にお金を回し、金利を調整する量的緩和という政策をとっています。
実際、FRB(米国の中央銀行)は米国債800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)400億ドルの計1,200億ドル(日本円にして約13兆円)を毎月購入しています。
ようはこの買い入れペースを徐々に縮小させていきますよーということです(米国債100億ドル、MBS50億ドルの計150億ドルずつ毎月買い入れを減らしていく。スケジュールでは8ヶ月間予定。)
では、テーパリングが実際行われるとどうなるのでしょうか。
債券の買い入れペースが落ちる=債券需要が下がる=債券価格が下落する。
本記事では触れていませんが、債券価格と金利についても同様シーソーの関係が成り立ちますので、債券価格が下落すると金利は上昇します。
金利が上昇すると、上述の通りセオリー的には市場の株価は下がるんでしたね。
世の中の投資家たちは、こうしたテーパリング発動による株価の下落リスクがあるためFRB(アメリカの中央銀行制度)の動向をチェックしているのです。
このようにザックリとでも用語を理解していれば、毎日見るニュースや新聞記事、投資系YouTuberの投稿動画への理解もグッと深まるはずです。
本ブログではこうした投資関連用語を投資初心者向けに分かりやすく解説する記事も投稿していきますので、定期的にチェック頂けると幸いです。